もしかして母は認知症ではないか?と思い至ったのは、ご近所さんからの指摘がきっかけでした
2020年の1月中旬を過ぎた頃、実家に行った時にお隣さんから声をかけられました。
「娘さん、ちょっと話があるんだけど…いいかな?」
「おたくのお母さんが2週間後にある町内の防災訓練の集合時間を、教えたんだけど毎日うちに確認に来るの。なんか様子がおかしい気がするけど、娘さんはどう思う?」
いろいろと母の様子をお聞きし、日ごろの会話から少し思い当たるところもありました。
「母は最近心配性が過ぎるところがあって…ご心配ありがとうございます。ご迷惑おかけして申し訳ありません」とお話しました。
母は昔から慎重で、心配性ではあったものの、その頃から度が過ぎてきた感じはありましたので、ご近所さんからの指摘に「もしかして…母は認知症なのか??」と思い始めました。
ランチの約束に、早朝から待っていた母
1月中旬、息子の成人のお祝いに、母と名古屋のホテルランチに行くことにして、現地集合にしたのですが、11時半の予約の当日、朝7時半頃、母から電話がありました。
若い時から、待ち合わせにはかなり早めに着くようにしている母でしたが、さすがに早すぎる…。
しかも1月の極寒の時期に、駅前にいる様子だったので、「なんでそんなに早く来たの?」と聞くと、「ちょっと早めにと思ったら早すぎた(笑)」という母。
慎重で心配性な性格は若い時からでしたが、「大丈夫かな?」と心配になりました。
そして、兄に相談してみたのですが、兄は「確かに心配性が過ぎる感じだけど、お正月にしばらく一緒に過ごしてたけど、おかしいと感じることはなかったよ」と言っていました。
包括支援センターに相談に行ってみた
それでも「ご近所さんに迷惑をおかけしている状態ではいけないし、母の一人暮らしの支援をお願いできるかどうかきいてみよう」と兄と相談して、まずは市の包括支援センターに相談に行くことにしました。
その時同行する母に、「高齢なので玄関のドアの修繕を市の支援センターで頼めるかもしれないから」というような適当な話をして、私たちが認知症を疑っていることを悟られないようにしました。
それは、母が何より恐れているであろう「認知症ではないか」とショックを受けることを避けたいという思いからでした。
私と母が行く前に、兄が先に行って、現状の生活の問題点などを相談しました。
合流後は包括支援センターのか担当の方がとても優しく母の話も聞いて下さり、まずは、生活のサポートを受けるためにも、介護認定をしてもらう、という流れになりました。
大きな病院の認知症外来で、診察
2020年3月、新型コロナウイルス感染症への恐怖で皆が過敏になっている時期に、介護認定のために市の大きな病院へ行くことは、母と私にとってはかなり不安なことでしたが、認知症外来での診察を受け、脳のMRIや、幻視についても話していたので、レビー小体型認知症の検査や、認知症のテストなどをいくつか受けました。
母はMRIなどの検査は平気なようでしたが、認知症の検査で、簡単な計算をしたり、記憶力のテストで、自分が間違えることが惨めで心底耐えられない様子で、あんな検査は二度と受けたくないと言っていました。
その2週間後位に検査結果を聞きに行ってみると、検査結果や数値を見ると「現在のところ、認知症ではない」という診断でした。
幻視や極度の心配性に関しては、不安神経症だろう。ということでした。
認知症外来での、専門医からの「認知症ではない」という診断に、とりあえずホッとして帰ったことを覚えています。
市の介護認定調査を受ける
母が住む市の介護認定調査の方が家に来て、一通り暮らしの様子について、聞き取り調査をされ、部屋の様子や身体の状態を見て、私も話を聞かれました。
母はとても饒舌に話し、元気いっぱいで毎日散歩に行っていると元気をアピール。
今思うに、たぶん毎日散歩に行っていなかったと思うのですが…
要支援1という認定結果でした。
その後、包括支援センターが実家の近くにあったので、母は心配なことがあると、お隣ではなく、包括支援センターの方に相談に行くようになりました。
とても優しい担当の方で、一人暮らしの母を気にかけ、時折顔を見に行ってくれていたようです。
ご近所さん達から喫茶店に呼び出され
母は、以前からご近所づきあいは比較的よくしている方でした。
特によく顔を合わせる機会の多いお隣と、お向かいの2軒の方は、母が独居ということもあり、心配して声をかけてくれて、お野菜をもらったり差しあげたりと、特に親しくお付き合いして、母も頼りにしているようでした。
4月、お隣さんからまた声をかけられ、「ちょっとお母さんには内緒で話したいことがあるので、喫茶店で話したい。ご近所さん達も来るから」と言われました。
喫茶店に行くとお2人待っておられ、「あなたのお母さんの言動が、このところ見ていて、以前とは少し様子がおかしい感じがする。同じことを毎日聞きに来たり、ゴミ出しの日を間違えていたり、いつも不安そうにしているから、離れて住む娘さんにはわからない様子を伝えておきたいし、気の毒なので何とかしてあげてほしい」
そんなお話でした。
迷惑をおかけしているお叱りを受けると思っていたのに、母や私のことまで心配して下さって、申し訳ないやら、情けないやら、優しさがありがたいやらで…涙が止まりませんでした。
ご近所の方にはその後もとてもよくして頂いて、「遠くの親戚より近くの他人」とはよく言ったものだと思います。
続く。